おしゃべりがうまく、5歳児並の知能を持つ大型鳥・ヨウム。
大型鳥/オウムにしては雄たけびも少なく、大人しいほうですが、神経質でストレスに弱い面があります。
根気と献身さがないと飼い続けるのは難しい鳥です。
今回はヨウムの飼い方/飼育方法の注意点を紹介します。
詳細データ
原産国 | 西アフリカ沿岸の森林地域 |
寿命 | 50年~70年 |
お迎え平均価格 | 400.000円~600.000円(サイテス格上げにより上昇傾向) |
大きさ | 約30.0cm~33.0cm |
ヨウムは大型鳥の中でも比較的大人しく、高い知能と受け答えができるおしゃべり能力で人気のある種類です。
大型鳥特有の雄叫びも少なく、鳴き声は大型鳥の中では静かなほうです(しかし防音対策しないと飼育できません)。
病気にも強く丈夫ですが、雛から3歳までは弱い面があります。
精神的に弱い、臆病な面があり、環境の変化や強いストレスを感じると毛引きなどの問題行動を起こすことが多いことでも知られています。
寿命も長く50年以上生きるので、お迎えするとほぼ一生のお付き合いになります。
基本的な性質を理解する
ヨウムはその知能の高さがしばしばメディアで評価される鳥です。
そのため、飼育需要が増え、コンパニオンバードとして高い人気を獲得しました。
その一方で「扱いにくい」「すぐ噛み付く」「急に気が荒くなって手が負えない」といった声もあります。
個体差や飼育環境にも左右されますが、ヨウムの基本的な性質を理解して向き合えば、トラブルも回避、対応できるはずです。
- 繊細で神経質な面がある。
- 日光浴が非常に重要。
- 反抗期を持つ。
1.繊細で神経質な面がある
ヨウムはその知能の高さの裏返しとして、繊細で神経質な性質を持っています。
気分屋な一面もあり、昨日喜んでくれた遊びでも、今日は嫌がってしまう、ということもあります。
ヨウムは新しいものや変化に対応するのが苦手です。
ヨウムがいる部屋の掃除や模様替えはヨウムに話しかけながら行うように心がけてください。
オモチャはケージにいきなり入れるのではなく、ケージの前に2~3日おいて慣れさせてからケージに入れるとよいでしょう。
このように、ヨウムは日によって気分が変わったり、人からしたら「こんな些細なことで怖がるの?」「こんな変化を気にするの?」と感じるような本当に些細な変化でおびえることがあるため、「もう、しょうがないなあ~」とゆとりをもって接することを常に心がける必要があります。
2.日光浴が非常に重要
ヨウムは食物からビタミンDを取り入れることができず、日光浴でしかビタミンDを作ることができません。
日光浴をしないとビタミンD欠乏症になり、最悪の場合、落鳥してしまうこともあるのです。
毎日2時間以上の日光浴をさせるのが望ましく、日当たりの良い場所へ移動させてあげるか、日光浴用のライトなどを用意する必要があります。
日光浴用のライトは効果が少しずつ落ちていくので、毎日3時間以上使うとして、1年に1回は交換するようにしましょう。
3.反抗期を持つ
ヨウムは生涯の間に反抗期が最低2回は訪れます(多い場合は4~5回の例があるようです)。
反抗期は1ヶ月から数カ月間続き、それまで従順だったのに、いきなり怒る、強く噛みつく、いう事をきかないといった強い攻撃性を見せるようになります。
反抗期はまるで別の鳥になったかのような豹変ぶりに驚き、どう対応すれば良いかわからず動揺する飼い主さんがとても多いです。
最初の反抗期は1歳半~2歳が多いです。
この時期に急に攻撃性が出てきた場合、ほぼ反抗期とみて良いでしょう。
実は、ヨウムは2歳前後で里親に出されるケースが非常に多い鳥です。
これは最初の反抗期を知らず、「突然凶暴化した」「手におえなくなった」と手放している状況がほとんどです。
反抗期は生理現象なので、飼育やしつけでどうにかなるものではありません。
時期が過ぎたら、必ず元の可愛い従順な子に戻ってくれますので、「仕方ないなあ」と寛大な対応で接し続けてあげてください。
反抗期の優しい接し方が、ヨウムにとって非常に強い絆となります。
※ヨウムの反抗期についてはこちらに詳しく解説しています。
飼い方/飼育方法と注意点
ヨウムを飼育するには、大型鳥専用のケージと止まり木、餌入れ、水入れを用意しましょう。
ヨウムは破壊することがとても大好きなので、壊すのが目的のおもちゃを常備してあげてください。
知能が高いので、同じおもちゃだと飽きてしまいます。
4~5種類のおもちゃを常備し、日替わりや、放鳥用などで使い分けてあげると喜びます。
また、ヨウムの飼育にはいくつかのポイントがあります。
これらのポイントを守った飼育をしないと場合によってはヨウムの命に危険が生じる場合があります。
したがって、1つでも守れない場合はお迎えを控えたほうが良いでしょう。
- ケージや飼育環境の掃除、餌やりを毎日欠かさず行うこと。
- ほぼ毎日日光浴をさせること。
- 毎日最低1時間以上は放鳥できること。
- 万が一の事故や病気などにすぐ対応できる(病院に行ける)こと。
- 飼育にかかるすべての費用を問題なく出せる(場合によっては数十万)用意があること。
- 根気よく、気長にお世話ができること。
これらについて解説していきます。
ケージや飼育環境の掃除、餌やりを毎日欠かさずする。
これはヨウムに限らず、生き物を飼育する最低条件です。
飼われた動物は自分で掃除ができません、餌もとりにいけません。
飼い主が毎日掃除と餌やりを欠かさずおこなう必要があります。
鳥は餌を貯め食いすることができません。
1日でも餌がないと生命の危機に陥ります。
また、ヨウムの健康維持には原産国の水に近い「硬水」を与えると良いです。
1羽飼育の場合、通販サイトから毎月1ケースほど届くようにすると便利です(管理人体験談)。
ほぼ毎日日光浴をさせる。
ヨウムはビタミンDを日光浴によって精製します。
ヨウムは日光浴をさせないと、ビタミンD欠乏症になり命にかかわります。
※実際に落鳥例も報告されています!
最低2時間~の日光浴か、日光浴用ライトに当てる必要があります。
毎日最低1時間以上は放鳥できる。
鳥は飛ぶことによって健康維持をしている側面があり、ストレス解消にもなります。
何より、飼い主さんとのコミュニケーションの時間にもなります。
ケージに入れっぱなしが続くと強いストレスを感じ体調を崩します。
毎日放鳥するようにしましょう。
また、ダンボールなどを壊したり、いたずらすることも大好きなので、壊されて困るものは放鳥前に隠しておく必要があります。
ダンボールや破壊用おもちゃなど、壊しても良いものを与えてストレス解消に努めましょう
万が一の事故や病気などにすぐ対応できる(病院に行ける)。
ヨウムの万一の事故や病気に対し、速やかに獣医師の診断を受けられる環境が必要です。
鳥は不調を隠す習性があります。
様子見したり、放置したりするとたちまち調子を崩してしまうでしょう。
異常やいつもと違うと感じたらすぐ動物病院に連れて行くようにしましょう。
飼育にかかるすべての費用を問題なく出せる(場合によっては数十万)。
ヨウム生体代(20万円以上)や諸費用(ケージ代など込みで10万円以上)に加え、餌代やおもちゃ代、サプリ代や万一の医療費など、かなり高額の出費がヨウムを飼育している間は続きます。
これらの費用を出し惜しみするようでは、ヨウムを飼育する資格はありません。
根気よく、気長にお世話ができる。
ヨウムの飼育は根気と気長にお世話する献身的な気持ちが必要不可欠です。
特に数ヶ月~年単位で続く反抗期がヨウムにはあり、その間は噛みつきがひどくなり、言うことをきかなくなるようになります。
飽きっぽい人には絶対飼育できません。
ヨウムのいたずらや反抗期に短気を起こさず、気長にゆったりとした心で接することが必要です。
ストレスに弱く神経質な鳥なので、新しいおもちゃや知らない人、環境でもストレスを抱えやすい面のケアも必要です。
ヨウムの噛み癖についてはこちらで詳しく書いていますので参考にしてみてください。
気をつける病気
ヨウムは3歳くらいになるまで抵抗力が低く、体調を崩しやすかったり、病気になりやすい一面があります。
特に最初の冬を越すまでの1歳未満の幼鳥は保温や食事管理などをじゅうぶんに気をつけましょう。
【毛引き】
ヨウムは部屋の雰囲気が違っていたり、新しいおもちゃがやってきた、もしくはケージにいる時間が長くなると強いストレスを感じます。
そのまま放置すると、自分の羽をむしることでストレスを発散する「毛引き」へと発展する場合があります。
【PBFD】
ウイルス性の羽毛疾患です。感染していると高確率で落鳥します。お迎え前にPBFD検査済で陽性の個体かどうかを確認しましょう。
まとめ
- ヨウムは神経質でストレスに弱い面がある鳥です。
- 飼育する前に、あらゆる面でヨウム優先の生活が続けられるかよく検討しましょう。
- ヨウムには日光浴は欠かせません。ビタミンD不足になると生命の危機に陥ります。
- 反抗期がある鳥なので、寛大に接し続けられることが必要です。
ヨウムは比較的丈夫で、大型鳥の中では物静かで知能がとても高く人気があります。
知能が高い分、神経質でストレスを貯めやすい部分があるので、きめ細かいお世話が必要不可欠です。
きめ細かなお世話、日光浴を毎日欠かさず行えるかを、ヨウムをお迎えする前に今一度考えてみてください。
コメント